「専業主婦が個人事業主になるにはどうすれば良いのだろう?扶養を抜けないといけないのかな。保険や税金の関係はどうなるのだろう。」
在宅ワークやクラウドソーシングの普及から、最近では専業主婦から個人事業主になる方は非常に増えています。
私も、在宅ワークの収入が安定してきて、個人事業主の申請を視野に入れるようになりました。将来的には、翻訳の仕事もフリーでやっていきたいなと思っています。
➡ 専業主婦を卒業しよう!在宅ワークで安全&確実に稼ぐ3つの方法
今回は、自治体で運営している「創業・経営無料相談」に申し込んでみました。
専業主婦が開業して、個人事業主になるときに直面する、扶養・社会保険(年金&健康保険)・税金の問題について聞いてきました。
起業のための無料相談会
次男くんを出産してから、ぬくぬくと専業主婦生活を送っていた私。「よし、個人事業主になってみよう!」といざ思ったところで、何から始めて良いのか分かりません。
まずは、市役所に電話して聞いてみました。
すると、市で「創業・経営」に関して相談会を月1で実施しているという情報をゲット。しかも、ありがたいことに無料の個別相談です。
子連れでも大丈夫とのことだったので、予約をして2歳の次男くんと一緒に相談会へ行きました。
ただ、市が運営している無料相談だったので、正直あまり期待はしていませんでした。きっと、市役所のあまり知識のなさそうな人に適当にあしらわれて終わるレベルだと思いつつ、迎えた当日。
迎えてくれたのは、中小企業支援センターから派遣されている中小企業診断士の方。起業についてかなり知識が豊富で、約1時間の相談会の中で、聞きたかったことがクリアになりました。
開業届を出す前に知りたいメリット&デメリット
実際に、私が相談した内容をまとめてみました。
青色申告と白色申告の違いは?
専業主婦の場合、所得の基礎控除額が38万円を超える場合は、確定申告が必要になります。(ダンナさんの扶養に入っていようが、開業届を出していなくても、38万円を超えたら、確定申告をしなくてはいけません。)
私の場合は、基本は在宅ワークで、経費と言えば、サーバー、ネット回線代などネット関連費用、参考書代くらい。
全部合わせても15万程度です。つまり、基礎控除の38万円+経費の15万円=53万円以上稼ぐと、税金がかかる計算になります。
確定申告には、青色申告と白色申告の2種類の方法があり、節税対策に有利なのが青色申告と言われています。
青色申告のメリットとデメリットをまとめると…。
青色申告のメリット
- 65万円の特別控除
- 赤字の場合、3年繰り越しができる
- 家事按分(家賃・光熱費の一部を経費として計上できる)
- 扶養控除がつかえる(夫が個人事業主で妻を扶養に入れたい場合に利用可)
- 家族に支払った給与を経費として計上できる
青色申告のデメリット
- 複式簿記で確定申告をする必要がある
- 一度申請をすると、白色申告には戻れない(白色→青色の変更は可能)
青色申告なら、私の場合は、基礎控除の38万円+経費15万円+特別控除の65万円+家事按分10万円=128万円以上で税金がかかる計算になります。
白色申告は、簡単というイメージですが、どちらにせよ確定申告の必要はあります。そのため、少々複雑な複式簿記でも青色申告の方がメリットは大きいです。
扶養に入りつつ個人事業主になることはできるのか?
健保によって規定が異なりますが、ほとんどの場合、年収130万円までは扶養に入りつつ個人事業主として働けます。
103万の壁、130万の壁などと言われていますが、主婦個人事業主にとっての一番大事なラインが130万円の扶養の壁です。
オフレコですが、年収130万円超えても、バレるまで扶養に入る続けている人も少なくないそうです。確定申告もしない、肝が据わった人が結構多いよー。と教えてくれました。もちろん、オススメはされていません。
税金は、収入から経費を差し引いた所得ベースですが、扶養は年収(売上)ベースの計算です。いくら経費を使おうと、130万円稼いだ時点でアウトになります。
ここを超えると自分で国民年金、国民健康保険といった社会保険料を支払わないといけません。
例えば、年間150万円の収入があるとしたら、大まかに計算をすると、負担額は約315,800円です。
- 所得税(復興特別所得税含む) … 11,000円
- 住民税 … 32,000円
- 国民健康保険 … 70,000円
- 国民年金保険 … 202,800円
(参照: 弥生個人事業主のかんたん税金計算)
かなり大きい額になってしまうため、どうにか扶養に入りつつ130万円以上稼ぐ裏技的な解答を期待しましたが、なさそうです。
130万円の壁を超えるのが確実になったタイミングで、大人しく扶養を抜けなくてはいけません。
個人事業主で控除できるものは何か?
主婦が個人事業主になる最大のメリットは、経費や控除を増やして税金を下げる節税効果。どのようなものが所得控除の対象になるのかも聞いてきました。
※所得控除とは、所得税の課税額を決める際、所得からあらかじめ一定の金額を差し引くことです。
【 所得控除 】
- 生命保険料控除
- 確定拠出年金(iDeCo)… 上限68,000円/月
- 小規模企業共済 … 上限70,000円/月
- 社会保険料
- 寄付金(ふるさと納税など)
- 経営セーフティーネット(経費として計上)
確定拠出年金や小規模企業共済を活用すれば、300万円程度稼いでも所得を0にすることは可能。所得が低ければ、所得税や住民税の軽減につながります。
また国民健康保険も所得に応じて、金額が変わってくるので、低ければ低いほど安いです。
稼いだほとんどを確定拠出年金などで強制貯金して控除にしてしまえば、家計にとってもメリットになりそうです。
➡ 個人事業主の節税対策!小規模企業共済へ現金一括で前納するメリット
経営をサポートしてくれるところはあるか?
節税の面からは、青色申告の方がお得です。ただ、複式簿記で確定申告する必要があり、素人には難しい部分もあります。
(前職で半年間だけ、経理の仕事をお手伝いしていたことがありますが、ほぼ税理士さん任せで全く身になっていない。もっと勉強しておけばよかった…。)
そこで、気軽に確定申告や経営の相談などができる機関を聞いてみました。
青色申告会
青色申告会では、日々の帳簿の付け方から確定申告時の書類の書き方まで教えてくれます。会費は年間2~3万円程度。(地区によって異なる)
税理士さんに丸投げする手もありますが、月2~3万程度かかってしまうので、比較的安く加入できる青色申告会は、収入がまだ少ない個人事業主にとって良さそうです。
商工会議所
商工会議所でも、青色申告会と同様に、帳簿の付け方や青色申告のサポートをしてくれます。また、経営サポート・金融サポート・情報交流ができるメリットもあります。
必要に応じて、法律・税務・許認可・登記・労務等の各専門家の相談も受けることができます。
私の場合、経費はほとんどかからないので、金融サポートを受けることはありませんが、資金が必要な事業をされている方は助かりますね。
また、個人事業主の場合、人脈を広げたり、仕事仲間を作ったりするのが難しいですよね。
商工会議所では、異業種交流会やセミナーなども開催されているため、開業1年目は参考になることも多そうです。
返済不要のお得な助成金とかはあるか?
開業時に受けられる助成金があるという噂を聞いたので、教えてもらいました。
- IT導入補助金
- 小規模事業者持続化補助金
- 創業補助金
申請が通れば、満額ではないものの1/2~2/3程度の助成が受けられます。ただし、毎年春先の募集になるため、タイミングは大事です。
専業主婦から個人事業主を目指そう!
今回、市の無料相談を使いましたが、かなり参考になりました。ネット上でも一通りリサーチしていましたが、やはり対面の方が分かりやすく、的確に教えてもらえます。
数年前まで会社勤めしていた時は、個人事業主なんて微塵も考えていませんでした。夫の転勤による退職をきっかけに見えてきた個人事業主への道。
「子育て中の専業主婦でも、個人事業主になり好きなことで稼げる!」
そう言い切れるように、一歩ずつ前に進んでいきたいです。
追記: 開業届を提出し、専業主婦を卒業しました。現在は個人事業主です。
➡ 専業主婦が在宅ワークで起業!子育てママが個人事業主として働くメリット&デメリット
青色申告の確定申告には弥生会計を使っています。経理知識がない初心者でも使いやすいです。