「フリーランスの稼ぎが思ったよりもよかった。」
年末が近づくと、何か節税対策をしなくてはと頭を悩ませていませんか。
何が節税になるのか分からない。無駄な経費は使いたくない。「所得?」「控除?」などと言われてもピンとこない。
私自身、個人事業主として届け出を出したものの、節税に関して全く知識がなかったので、商工会議所に相談に行ってきました。勧められたのは「小規模共済」です。とてもメリットが多い制度で、節税にも効果があります。
確定申告に向けて、本年中の節税対策をするなら12月までが勝負です。
収入が予想以上に多かった、節税対策がしたい、そう思っている方のために、小規模共済のメリットデメリットについてまとめてみました。
小規模企業共済1年分を前納してきた経緯
個人事業主1年目の今年、扶養を抜けてしまい、予想していた金額よりも稼ぐことができました。(と言っても、新卒の初任給よりも低いですが…)
年末も近くなってきたため、収入を計算してみたところ、このままでは住民税&所得税だけでも30万円近くかかる計算になってしまいました。それに加えて、社会保険料(国民健康保険・国民年金)が40万円程かかるため、かなり痛い出費になります。
商工会議所で相談したところ「小規模企業共済」について説明を受けました。
結果的に、10万円以上の節税対策になることが分かり、12月ギリギリで加入することにしました。11月~12月は、振込の対応をしていないため、現金で一括納付してきました。
小規模企業共済とは
小規模企業共済は、中小機構が運営しており、小規模企業の経営者や役員、個人事業主(フリーランス)などのための、積み立ての退職金制度です。現在、全国で約133万人の方が加入しています。
個人事業主が節税のために加入できる制度は、小規模企業共済以外にもあります。
- 確定拠出年金
- 経営セーフティ共済
この3つの制度は、同時に加入すること可能です。3つの掛け金の全額が所得控除できます。つまり、年間利益が300万円程度であれば、実質ゼロにすることもできます。
私は300万円の控除もいらないし、ある程度自由に使える現金を手元に残しておきたいので、今回は小規模共済のみに加入することにしました。
小規模企業共済のメリット
個人事業主が、小規模企業共済に加入するのは節税対策が主な目的です。ですが、他にもメリットはあります。
掛金が全額所得控除
所得税と住民税は、課税所得から金額が算出されます。そのため、個人事業主はいかに課税所得を減らすかがポイントです。
小規模企業共済のパンフレットには節税額の一覧が書かれていました。
課税所得金額 | 加入前の税額 (所得税+住民税) |
加入後の節税額 | ||
掛け金1万円 | 掛け金3万円 | 掛け金7万円 | ||
200万円 | 309,600円 | 20,700円 | 56,900円 | 129,400円 |
400万円 | 785,300円 | 36,500円 | 109,500円 | 241,300円 |
600万円 | 1,393,700円 | 36,500円 | 109,500円 | 255,600円 |
※2018年現在。詳細は中小機構ホームページの「加入シュミレーション」にて確認ができます。
200万円の所得に対して、約13万円も節税になるのは、かなり大きいですよね。13万円あれば、家族旅行に一回行けちゃいますからね。
掛け金が自由に変更できる
小規模企業共済では、月1,000円~70,000円範囲で自由に掛け金を設定できます。フリーランスって収入が不安定なことが多いですよね。
私も、今年はそこそこ稼ぐことができましたが、来年はどうなるか分かりません。
ライターの仕事は今後受注があるのか見通しがつきませんし、ブログもアップデートでアクセスが大幅下落したまま戻りません…。収入がない上、さらに住民税や所得税を取られてしまったらたまりません。
一括払いにした場合は、11~12月の時期に1年分の支払額を決めることができます。もし来年あまり稼げず、節税の意味がないようでしたら、掛け金を最低金額の月1,000円x12か月分の合計12,000円に変更すればOKです。
売上に応じて、自由に金額が変更できるのは、個人事業主にとって大きなメリットです。
銀行の定期預金よりも金利が高い
小規模共済は節税対策だけでなく、貯金する際にも使えます。利率は情勢によって変化しますが、現段階では銀行の定期預金よりも遥かに金利が高いです。
年数 | 掛金合計額 | 共済金A |
・個人事業の廃業 ・個人事業主の死亡など |
||
5年 | 600,000円 | 621,400円 |
10年 | 1,200,000円 | 1,290,600円 |
15年 | 1,800,000円 | 2,011,000円 |
20年 | 2,400,000円 | 2,786,400円 |
30年 | 3,600,000円 | 4,348,000円 |
月額10,000円で掛けた場合、5年間で21,400円の金利がつきます。定期預金なんて、5年でも0.02%なので、600円くらいにしかなりません。
月額70,000円の満額掛け続ければ、30年で400万円以上の利子がつきます。
一括受取りで退職所得扱いになる
「退職所得にすると何が良いのだろう。」この退職扱いという意味がよく分からなかったので詳しく聞いてみました。
事業の廃止や、経営者の退職などで、小規模企業共済の解約金を受け取る場合、退職所得の扱いになり、通常の所得税計算とは大きく異なります。
退職控除の計算は勤務年数で異なります。20年以下の場合は、40万円x勤続年数で、800万円が控除されます。さらに、半額にした金額が退職所得です。
例えば、月額7万円を20年間、掛け続けていた場合の計算をしてみます。
- 小規模企業共済の受け取り額: 合計1,680万円
- 退職控除の計算: 40万円x20年(勤務年数)= 800万円
- 退職所得の計算: (1,680万円-800万円)/2 = 440万円
440万円に対して課税されます。1,680万円と比べたら、かなり節税になりますよね。
小規模企業共済のデメリット
小規模企業共済のデメリットは、解約理由と期間によっては元本割れするリスクがあることです。
6か月未満は、完全に掛け捨て
6か月未満で解約してしまった場合、どんな理由があろうと完全掛け捨てになってしまいます。自己都合の場合は、12か月未満は完全に掛け捨てです。
仮に、私が明日交通事故で死んでしまったら、掛けた金額は戻ってきません。
ただし、6か月以上の廃業であれば、全額受け取ることができます。もし、リスクを回避するのであれば、6か月間は最低月額の1,000円にしておき、その後は増額すれば大丈夫です。
いつでも自由に掛け金の変更ができるメリットはここでも活躍できますね。
240か月未満は元本割れする
契約に慎重になってしまう理由は「240か月未満の元本割れ」ではないでしょうか。
240か月=20年ってかなり長い期間。正直20年も先のことなんて、よく分かりませんよね。
240か月という期間は自己都合で解約する場合です。廃業すれば、元本割れすることはありません。
廃業って、借金抱えて夜逃げ同然で辞めるみたいなイメージがありますが、届出を出せばそれで終わりです。事業をやっていれば、一度辞めて再起することだってありますしね。
経費にはならない
小規模企業共済と似たような制度で「経営セーフティ共済」というものもあります。
小規模企業共済と経営セーフティ共済、どちらも所得税と住民税に対して節税効果があります。
- 売上-経費(経営セーフティー共済含む)=所得 ← ここで国民健康保険料が決定
- 所得-控除=課税所得 ← ここで所得税と住民税の金額が決定
国民健康保険は、所得に応じて金額が決まります。経営セーフティ共済は、売上から経費として差し引くことができるため所得自体を下げることができます。
一方、小規模企業共済は所得控除になるため、国民健康保険の金額には影響しません。
ただし、経営セーフティ共済は受け取る際は、退職所得ではなく事業収入になり、受け取った金額に対して税金がかかります。
そのため、経営セーフティ共済は、利益が多い年に積み立て、利益が少ない年に受け取ることが大事です。
今年の節税対策で、あまり経営戦略とか立てられていないので、私は小規模企業共済で様子を見ることにしました。経営セーフティーと小規模企業共済は併用できるので、来年すごく売上がよかったら、加入を考えるかもしれません。
来年は、月100万円稼いだって言いたい(笑)
小規模企業共済の加入期限・持ち物は?
↑ 実際に持っていったお金(笑)
節税対策に向けて、12月ギリギリで小規模企業共済を検討している場合は、商工会議所、青色申告会、金融機関などで、直接加入ができます。
私は、商工会議所に問い合わせて行きましたが、当日中に契約することができました。
【 持ち物 】
- 個人の通帳(口座番号が分かるもの)
- 銀行印
- 現金(1年分の掛金1,000円~70,000円x12か月)
もし、12月ギリギリとかではなく、期限に余裕があるようでしたら、銀行振込でも可能です。
金融機関は大手のメガバンク、地方銀行、信用金庫などです。ネット銀行は取り扱っていないので注意してください。住信SBIネット銀行やゆうちょ銀行も不可でした。
小規模企業共済で節税対策をしよう
会社勤めをしていたサラリーマン時代は、すべて経理任せで、税金対策とは無縁でした。個人事業主になって、ようやく世の中の仕組みが分かってきたように思えます。
せっかく稼いだ収入です。税金を取られるのは悔しいですよね。
自分の収入は自分で守らなくてはいけません。国に余分な税金を搾取されないよう、節税対策はしっかりと考えてくださいね。
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